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なにかあり/とくになし

違和感の居どころ

中央線文化圏を狙ってるという意味なのか、
大ベテランの男性シンガー・ソングライターと女性ロッカーの
ジョイント来日コンサートの看板が駅ごとに設置してある。


宣伝なのだから
勢力的にやるのは
よいことだと思うのです。


だが、
その看板を見るにつけ、
何だかもやもやとした違和感が残る。


それは何かと思っていたら
電車の中に答えがあった。


ちょっと離れた席に座っているサラリーマンが
読んでいる「少年ジャンプ」。


その「少年ジャンプ」というロゴ・フォントと
ふたりのアーティストをカタカナで描いたロゴ・フォントが
同じというわけではないんだけど、
何だかノリが似ているのだ。


デザイナーは
「ジャンプ」世代なのか。


どちらかに偏見があるというわけではなく、
ただ食い合わせがわるいというか、
結びついてはいけないものが
頭の中で結びついてしまったということなのだろう。


脳内で
バランス感覚がもじもじと
態度を決めかねている。


ぶるぶるっと頭を振って
iPhoneのヴォリュームを上げた。


こないだからずっと聴いている
あるアーティストの音源。


この音の
凛としたたたずまいと、
かっちりとしていながらそこから染み出してくる
ぽつん、ぽつんと語られるモノローグのような情感の同居は
ぼくにとってはまったく完璧に違和感がない。


これが今年最後の
そしてひょっとして
今年一番熱中して聴いた作品になるかもしれない。


今日これから
この作品についての取材に向かうところ。


今年請け負ったインタビュー仕事としては
これが仕事納めになるだろうか。


駅に着き、
かわいた寒気を感じながら
割と急な坂道を早足でのぼった。