ただし、バーンホームズを除けば
西新宿のバーンホームズ・レコードが最高だと思うところは
いろいろある。
キンクスのレイ・デイヴィスが
北欧のカントリー・バンド、ピルグリムをプロデュースして
アルバムを出したなんてニュースは
日本中のどこにも流れていない。
ただし、
バーンホームズを除けば。
50年代のデトロイトで
ガソリンスタンドのガレージをスタジオ替わりにして
黒くてレイジーなヘビー級R&Bを生み出した怪人
アンドレ・ウィリアムスが
今は小説も書いていて
音楽のかたわら小説家としてのサイン会も開いているなんて話を聞ける店も
日本中のどこにもない。
ただし、
バーンホームズを除けば。
そして
なおかつ
そのアンドレの著書が買えたりする店も
まずないだろう。
ただし、
バーンホームズを除けば。
ぼくがアメリカで好むタイプの新譜を扱うレコード店は
アメリカン・インディーズも
トラッシュ・ガレージも
50年代R&Bも
戦前ブルースも
ルーツ・ロックも
ポスト・ロックも
同じ目線で同居する店。
その雰囲気に東京で一番近いのは
この店だ。
アンドレの著書
「Sweets And Other Stories」を出版している
キックス・ブックスという会社は
ぼくが長い間探していた写真集を出しているところでもあった。
エスケリータや
スターになる前のフォー・シーズンズなど
野卑で鮮烈な音楽写真が拝める強烈な一冊。
アンドレ・ウィリアムスの本を手に入れたおかげで
その出版社の連絡先がわかり、
念願かなって
その写真集もどうやら入手出来そう。
そういう奇跡も
バーンホームズからは起こる。