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なにかあり/とくになし

ぼくはつぶやきなんてしないし、BOATが好きだと今でも絶叫したい

しばらく絶叫マシンのことばかり書いていたので
ちょっと調子が狂う。


書いている間、
ときどき
「ひとりで行ったんですか?」とか
「いい歳こいて」的な意見もいただいた。


うーん。
でもやっぱり
ぼくはつぶやくよりも
絶叫する方が好きみたいです。


先月出た
THE GROOVY 90'S〜90年代日本のロック/ポップ名盤ガイド」というガイド本に
ちょこっと参加させていただいたとき、
巻末に著者プロフィールを掲載する欄があった。


「90年代何をしていましたか」的なお決まりの質問があったのだけれど
反射的に出てきた言葉は
「何をしていたか」への答えではなく
BOATのアルバム「フルーツ☆リー」”だった。


あのアルバムが
セレクトされていなかったことが
ちょっと不満だったんでしょう。


BOAT(メジャーデビュー後はBOaT)というバンドは
歴史的なつながりで言えば
今のNATSUMENの前身ということだが、
あの「フルーツ☆リー」という
一瞬の青春の暴発みたいなアルバムには
他には替え難い躍動感とメロウさと異物感が同居していた。


あのアルバム、
現在のアマゾンのデータでは2000年の再発時の日付になっているが
発売されたのは98年だったはずだ。


98年、
当時制作していた「リズム&ペンシル」創刊号の作業を徹夜でやったあと
明け方に初めて聴いた瞬間
心を強く打たれたことを今でも覚えている。


その後、
足しげくライヴに通ううちに
彼らの宣材作りなんかを手伝うようになった。


1999年前後のBOAT
間違いなく21世紀をばかばかしく先駆けていた。


こないだ
渋谷駅のキオスクで
東村アキコの新連載が始まった「モーニング」を
一日遅れで買った直後、
ふと顔を上げると
改札からどこかで見たような顔の男性が出てきた。


あれ?


ぼくの視線に気づいたのか
向こうもこっちを見た。


BOATのキーボードだったキヨシくんだった。


いやいや久しぶり
今何をやっているの
へえライターで何とかやっているんですね
そっちこそ今のバンドはどう?
あれからもう十年くらいですかねえ


すこしの時間立ち話をして
連絡先を交換して別れた。


ヴァンパイア・ウィークエンドや
ダーティー・プロジェクターズみたいな連中を
新しいと感じながら
どこかで懐かしくも思うのは
きっとその興奮を彼らでとっくに知っていたからだ。


BOATがもう一度ぼくの胸をかきむしった。