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なにかあり/とくになし

12年目のジェイク その1

お恥ずかしい話……になるのかな。


あのマジシャンズの
あのバンキー&ジェイクの
あのジェイク&ザ・ファミリー・ジュエルズの
あのジェイク・ジェイコブスの
はじめてのソロ・アルバムが
この秋に出ていたことを
今日まで知らずにいた。


ジェイク・ジェイコブスではなく
ジェイク&ザ・レスト・オブ・ザ・ジュエルズという名義で
タイトルは「リック&ア・プロミス」。
おそらく自主盤としての発売だろう。


制作開始から
完成まで12年。
当初はプロデュースはピーター・ゴールウェイで
NRBQの連中も
初期のレコーディングには参加していた。


12年という区切りをはっきり覚えているのは
ちょうど今から12年前の1999年の12月、
ジェイクは
ピーター・ゴールウェイ、
ラリー・ジョン・マクナリーと一緒に
来日公演を行っていたからだ。


長門芳郎さんの企画したコンサートで
「ブリーカー・ストリートの青春」という
サブ・タイトルがついていた。


ぼくはその東京公演を
国会図書館の向かいにある
社民党の建物のなかにあったホールで見た。


「今、ジェイクは
 はじめてのソロ・アルバムを作っているんだよ」


そのとき長門さんは言っていたし、
ジェイクも新曲と思しきナンバーを
日本のファンの前で演奏していた。


実はこのとき
ぼくは長門さんに強引に頼み込んで
ジェイクに取材をしている。


しゃべりすぎて喉を痛めないようにという条件で
本番前にもらった時間は
楽屋で30分ほどだったかな。


まだ駆け出しのライターにすぎなかったぼくに
よくもOKをくれたと
このときのことは
今でもとても感謝をしている。


相手は
グリニッチ・ヴィレッジのグッドタイム・ミュージックの
生き証人みたいな存在なのだ。
短い時間で聞き出せることにも
おのずと限りがある。


開き直って
今よりもずっとへたくそな英語で
ジェイクにいろいろなことを訊いた。


細かいことより
変わってゆく時代や音楽への感じ方や
都会の風来坊みたいな生き方を
彼の言葉からつかもうと思った。


ちなみに
ぼくがもらった取材の条件は
もうひとつあった。


今、ジェイクが制作している
初のソロ・アルバムが発売されるタイミングで
きみがやるインタビューを
どこかの雑誌で発表すること。


「がんばります」と返事をした。


ところが
待てど暮らせど
アルバムが完成したというニュースは届かず。


そこからまさか
12年も待つとは
思ってもいなかった。


この話、明日もつづけます。