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なにかあり/とくになし

また「北と南」に

よく晴れた朝
阿佐ヶ谷駅のホームから
富士山が見えた。


ぼくが知っている東京は
1987年からこっち(このエリアに暮らし始めたのは90年)だが、
この眺めが
東京の冬だという実感が
なんとなくある。


若い知人たちがやっている文芸誌
北と南」に
性懲りもなくまた
小説(のようなもの)を書きますと約束をしていることを
このところ薄ぼんやりと気にかけている。


前の号に
恥知らずにも
ぼくは「珈琲のあじ」という
小説のようなものを書いたのだ。


ありがたいことに
次も書かせてくれるという。
こないだ
そろそろ書いてくださいねと
メールが来ていた。


「北と南」つながりで言うと、
阿佐ヶ谷駅のホームからの眺めは
冬の晴れた日には富士山が見える南(西)よりも
ホームを挟んで鏡合わせになっているほう、
つまり
こまごまと家の屋根やわずかな緑が連なりながら広がる
北(西)のほうが個人的には好きだ。


単に
総武線の上り電車を待つときは
そっちを向いているというだけなのだが、
こっちのほうが
いろいろな考えごとがすうっと抜ける気がする。


「北と南」に書くつもりの
小説のようなものの
タイトルだけは
もう決めている。


こないだ
阿佐ヶ谷駅のホームから
北側を見ながら決めたのだ。


もうすこし待っててください(私信)。


あらためまして
「北と南」は、ケレンのない、いい本ですよ。